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『まだ東京で消耗してるの?(イケダハヤト)』は、2016年に現代を予言していた。

2022年11月12日

いだゆ

長野県出身。関東圏で働くサラリーマン。
明治大学を卒業後、オンワード樫山、ジョンソン・エンド・ジョンソン等に勤務。
趣味は読書(年間200冊ほど)、旅、犬猫。
【Twitter】@tabihonkoe
【Note】https://note.com/yuki423

「予言」に驚いた

率直に驚いた。この本の出版が2016年だったと知った時の感想だ。

現在でこそ、地方移住やリモートワークといった概念は市民権を得てきているが、コロナ禍のはるか前に出版された同著は、まるでその潮流を予言していたかのような内容だ。

自分の読書記録では、2016年に紙の本を購入し、2022年にKindle版を購入していた。

そして今回、改めて3回目の読了を終えて、その先見性に唸るばかりだった。

 

これは、現代でこそ読むべき内容かもしれない。

むしろ、発売当時はまだ世間から理解されにくかったのではないか、とさえ思える。

実際に、自分も今年に入ってからKindle版を追加購入したのは、

「だいぶ前に、確か地方移住とか、リモートワークみたいなテーマの本を読んだことがあったな・・」と、

ふとした時に記憶に引っかかったからだ。

 

「目からウロコ」と「納得」の両立

同著内で語られている内容は、目からウロコ、それでいて、よく考えてみれば納得、というものが多い。

・被害が多すぎる35年ローンは、そろそろ「法規制」した方が良い。

・お金を稼ぎたいなら、田舎に行くべきなのです。地方は、都会なんかよりよっぽど「稼ぎやすい」んですよ。

・「仕事は誰かから与えられるものだ」と思っている人にとっては、田舎には仕事がないように見えるのです。確かに、リクナビを見ても高知の田舎には求人はありません。当たり前ですね。地方で「雇用」だけを探したら、そりゃ、悲観的になりますよ。

・能動的に価値を生み出していける人にとっては、地方は本当にパラダイスです。

・水道とガスなんて、なくても全然暮らせます。

 

個人的に、特に印象に残ったのはこの一節だ。

・僕らは「環境の奴隷」なのです。素晴らしいのは、この時代です。環境の奴隷たる僕らは、絶対的な存在であるその「環境」を、自らの意思で選ぶことができるようになったのです。

 

読書メモ

(※個人的なメモのため、一字一句が本文と同じではありません)

ある程度お金がある場合は、「賃貸より安いし、仕方ないから35年ローンを組んで、物件を手に入れる」という選択をし、自分の人生を縛られてしまいます。

地方では新築価格も桁違いに安く、地元の方いわく「土地付きで1000万もあれば十分すぎる」とのこと。ローンを組まずとも、一括で買えちゃうレベルです。

僕が東京で暮らすことをやめた最大の理由は、住宅コストの高さと、住宅事情の劣悪さです。

往復で2時間を通勤に費やす人が、年間250日働いた場合、ざっくり500時間、通勤している計算になります。で、僕は500時間もあれば、ブログ記事を2000本は生産できます。2000本の記事を書くことで、年商で1000万円程度を稼ぐことができます。みなさんが時間とエネルギーを消耗している間に、僕はコツコツ仕事をして、あなたの年収を超えるお金を稼いでいるんです。

「移動しながら」という条件下においては、あらゆる作業の効率は落ちます。

たかが家のために、35年もの長期間、借金を返済し続けるんですか?35年間、お金を稼ぎ続けられる確信があるんですか?

僕はクリエイターなので、やっぱり文章を執筆、編集していたいのです。人に会うのは「たまに」で十分。リアルに会う必要もなくて、ビデオチャットで十分です。人生の時間は有限なので、どんどんコンテンツを生み出し、少しでも社会に変化を与えたい。

「一流の人に会いたいって人多いけど、むしろその一流の人が会いたいって思うような自分になるのが一番の近道」(堀江貴文)

そんなに無理して働くのは、仕事ができない証左であることに気づきましょう。パンパンに予定とタスクが詰め込まれた状態では、人は新しい価値を生み出すことができませんから。空白にこそ、創造性は宿るのです。

僕は高知に移住してから収入が3倍になりました。事業はまだまだ成長中で、このまま億単位のビジネスに育てていくつもりです。僕が住んでいるのは限界集落ですが、ここからでも存分に稼げますし、仕事は創れるし、そもそも仕事もあるんです。東京よりも田舎の方がお金は稼ぎやすいとさえ思います。

地方に移住する上で、最高に面白くて、同時に難易度も高いのは「起業」です。高知に来て実感しますが、地方は新しいビジネスを生み出す上で、最高のフィールドです。あなたが優秀なビジネスパーソンであれば、10億円程度のビジネスなら作れますよ。どんな山奥で、過疎地であっても。

僕は、移住して収入が大幅に増えました。事業規模でいうと、東京で生活していた2013年度は年商800万円。高知市から限界集落に移住した2015年度は年商2000万円程度まで伸びました。

僕らクリエイターは、外部から与えられる刺激によって、アウトプットが変わっていく。環境を変えれば、アウトプットは変わります。

僕はいわゆる「コンテンツビジネス」を手がけています。日々、ブログに文章や写真、動画といったコンテンツを掲載し、顧客を集め、お金を稼いでいます。この種のコンテンツビジネスを扱う人は、東京から地方に移住するとシンプルに年収が上がるんです。

なぜかといえば、地方に移住することで、コンテンツの幅が広がるからです。とてもシンプル。僕は高知に来てから、「移住」「高知観光」「田舎暮らし」などなど、ネタの幅がぐっと広がりました。東京のメディアが取材できない情報も多数アップしています。だから、読者層が広がり、アクセスも増え、売上も増加したのです。

東京で書ける記事は、誰かが書いてくれるんです。東京は「書き手」が多すぎて、ネタがかぶりまくります。

一方で、地方では、オンリーワンのコンテンツが作りやすいんです。高知は「食べログ」のようなレビューサイトがろくに機能していません。ITリテラシーが低いのか、地元の人はほとんど書き込まないんです。これは僕らコンテンツビジネスに関わる人間にとっては、大きなチャンスです。

あなたがデザイン、ライティング、映像、音楽、プログラミングなどなど、パソコン一つでできるような創作活動を仕事にしているなら、ぜひ移住してください。本当に、年収が上がりますよ。

地方は労働環境も最高です。高知に引っ越してきてから、集中力が高まりました。この原稿も、標高500メートルの我が家の庭で、車にこもって執筆しています(車は最高のパーソナルオフィスになるのです)。

車窓から清涼な風が入ってきて、川のせせらぎが聞こえて、虫の声が優しく響き…、妻が入れてくれた地元の美味しいコーヒーを飲みながら、ゆったり原稿を書いております。スタバとかすっかり行かなくなりました。家の方がコーヒー美味しいし、のんびり昼寝もできるし。

地方ではすぐに「孤独な環境」を確保することができます。東京では、カフェで仕事をするにしても、周囲の話し声が気になりますし、そもそも長居することはできません。昼寝もできません(昼寝は集中力を回復させる上で、たいへん効果的です)。

集中力を高めると、仕事のパフォーマンスは圧倒的に改善します。僕の場合は、高知に来てからブログ記事の生産量が2倍以上に増えました。

「1000万円も見ておけば、小綺麗な新築と畑と田んぼは余裕で確保できる」

空き家の規模や状態(畑の管理も任せたい等)によっては、「毎月2〜3万円あげるから、住み込みで管理してください」という話も大いにありえます。地方の住環境は、これから大変動が起きると見ています。いやはや、本当に、なぜみんな東京で借金して家を買うのか理解ができません。

田舎暮らしの移動に不安がある人は、まずは県庁所在地をターゲットにしてみましょう。探せば高知市のようなコンパクトシティはたくさんあります。四国だと、松山も自転車だけで生活が完結する街ですね。生活が徒歩・自転車で完結するコンパクトシティは、一度住むと他の地域に住めなくなるほど快適です。

地方に行けば、「行列」「人混み」のストレスから解放される。

僕は年収300万円だったサラリーマン時代、年間150万円のお金を貯めました。

東京でせこせこと節約している暇があるなら、地方に行って生活コストを下げ、うまいものを食べた方が数段幸せ。

高知のど田舎だと、車を持っていたとしても、その気になれば毎月5万円で生きていけます。本当に、うちのアシスタントはそのくらいで生きているようです。

地方は都会よりも断然子育て環境が恵まれています。

東京って子連れだと、休日がぜんぜん面白くないんですよね。もう、行く場所がぜんぜんない。

今はもう、ネットを使えばどこでも教育を受けられる時代です。

「健康になる」というのは移住の最高のメリットだと考えています。

異常な東京を離れて、人間として正常でいられる地方に、少しでいいので滞在してみてください。強烈な環境の違いを目の当たりにすれば、東京にしがみつく理由がないことを、体で理解できますよ。

空き家をリノベーションして、エアビーアンドビーに出してお金を稼ぐ。

高知は日照時間が全国トップで、太陽光発電の導入には相性のいい土地です。

住民税を稼げば、それだけ町が潤い、行政サービスも充実します。稼げる個人は、町に大きな影響を与えることができるんです。

まずは県庁所在地レベルの「地方都市」に居を構え、そこから自分たちに合った「田舎」を探すことを、強く強くおすすめします。

地域を回って「ここに住みたいんですが」と話を聞いていくと、それ自体が「就職活動」になり、運が良ければその場で「あ、仕事ならちょうどあるから、とりあえず住んでみる?」という話になる可能性があります。これ、本当によくある話なんですよ。

先日高知に移住したある方は、「たまたま入ったカフェ」がきっかけで、家と彼女が見つかったとか。自分をオープンにしていけば、出会いは結構溢れているものです。「この街に住みたい」と言われて、嫌な気がする住民はそうそういませんしね。

地方は物件情報がかなりクローズドなので、チェーン系の不動産屋はあまりおすすめしません。

僕がおすすめするのは、「いっそ移住した後に仕事を探す」という、行き当たりばったりのアプローチです。かなり不安もあるかもしれませんが、案外、なんとかなります。100万円程度の貯金があれば、生活費も安いので、のんびりいい仕事を探すことができるでしょう。「移住した後」にこそ、やりたいことも見つかりますし、仕事も舞い込んできます。

まずは半年、アルバイトで生計を立てつつ、地域をうろうろしながら物件や仕事の情報を集めてみるのをおすすめします。人材不足で悩んでいる事業者は、実際そこらじゅうにいますから。変にかっちり正社員雇用を確保しちゃうと、せっかく移住したのにフットワークが重くなりがちですし、そこまで焦らなくてもいいと思いますよ。

ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは、東京と軽井沢、福井の3ヶ所に拠点を持っています。このスタイルが理想的なのは、多様な「刺激」を受けることができ、創作の幅が広がる点にあると考えています。

創作・表現を扱う仕事をしている人にとっては、複数の拠点を持つことはとても合理的です。

日本全国で家は余っている。35年ローンで郊外に家を買っちゃった人は、20年後あたり、後悔する羽目になりますよ。「なんで1軒の小さな家を、高額の借金背負って買っちゃったんだ…」みたいな。

ある移住者は、合計400万円近い補助金を町からもらって新築物件を建てたそうです。土地代はたかが知れているわけで…、いやー、35年ローン組む必要なんてないんですって。

競売物件や空き家バンクを検索すると、価値観がぶっ壊されます。100万円も出せば、とりあえず一軒家が手に入ることを、この目で知ることができますから。

修繕費で200万円かかるとしても、300万円見ておけば、当面住める家が手に入っちゃいます。田舎の空き家は得てして敷地も膨大なので、使いようはいくらでもあります。

あなたが悪いんじゃないんです。あなたが選んだ「環境」が悪いんです。

東京から高知に環境を変えたら、東京で課題に感じていたことは、全て、本当にサクッと解決しました。

ブログだけで年商1億円は、別に難しい目標ではありません。さっさと達成しますよ。

環境を変えただけで、成果が数倍になり、自分に自信も持てるようになったのです。実際、わずか1年半ですよ?僕の能力は、ほとんど変化していないはずです。

能力は環境の影響を大いに受けます。無能だとされた人も、環境を変える「だけ」で、有能な人物に早変わりします。

会社を辞めるのも、学校を辞めるのも、好きな土地に移住するのも、あなたの自由です。誰も、あなたを縛ってはいません。あなたが、あなたを縛り付けているだけです。

なぜ婚活移住がアリかというと、地方では異性が余っているんですよ。婚活業界では有名な話で、女性の未婚率は「西高東低」、つまり福岡あたりに行くと結婚願望がある若い女性が割合として多いんです。逆に、未婚男性は東北あたりに多く分布しています。

統計を紐解くまでもなく、地方には魅力ある男女が割と余っています。地方に出て生活すればわかりますよ。やっぱり出会いが少ないんでしょうね。

地方に移住することで、自分をリセットすることができるのも、大きなメリットです。前述のブロガーはまさにそんな感じで、高知に移住してから恐らく別人レベルで人が変わっています。高知の空気と移住という転機が、大企業に縛られていた彼を自由にし、本来の魅力を引き出してくれたのでしょう。

田舎はまだまだ先行者利益だらけです。うんざりするほど、「これ誰かやったら絶対ウケるのに…」というビジネス、企画のタネが眠っています。

災害で一番怖いのは、東京のような大都市だと思う。防災意識は低く、それでいて被害も甚大。オフィスが立ち並ぶ都心部は災害の備えがろくにできていない、というのは有名な話。

住む場所にもよりますが、地方は東京に比べて、断然災害に強いんですよ。東京では、冗談ではなく、トイレが使えなくなったら大パニックになりますからね。

転職サイトでまずおすすめしたいのは「パラフト」。

最近地方のハイレベル求人に力を入れている「ビズリーチ」は一見の価値があります。「東京で経験を積んだけど、今後は地方で自分の力を試したい」と考えている30〜40代の方におすすめ。

「日本仕事百貨」にも、素晴らしい地方の求人が多数掲載されています。

これからは「ローカルブログメディア」が面白い。言ってみれば「金脈」。お金になります。

「スマートニュース」や「グノシー」でも、地方のコンテンツは非常に薄い。

大手ニュースメディアやニュースアプリは、「ローカルコンテンツ」の提供に力を入れていくと見られます。

ビジネスチャンスです。地元の情報を丁寧に伝えていけば、大手のニュースメディアやアプリが記事を拾って、彼らのチャネルで拡散してくれます。

手近なところでは、「ローカル求人広告」に力を入れていくと、わかりやすく売上が立つでしょう。僕のブログでも、着々と高知の求人を掲載し始めました。

何よりローカルメディアが面白いのは、その土地にいる人間じゃないと、記事が書けないことにあります。言ってみれば、参入障壁がめちゃくちゃ高いので、競争が起こりにくいんです。東京のブログメディアはみんな同じようなこと書いてますが、高知のような人口が少ない土地なら、そんなことにはならないわけです。

 

まとめ

人間は「環境の生き物」とよく言われる。

そして、2016年当時と比べ、社会情勢の変化はもちろん、デジタルデバイスや高速インターネットの目覚ましい進化によって、我々は「環境」を選べるようになってきている。

日本に生まれ育った者にとって、これは大きな幸福であり、チャンスでもある。

(例えば海外では、デジタルテクノロジーや移動とは一生縁がない、と話す人に出会ったことがある)

それをどう活かすか、自分の人生をどうしていくべきなのか、改めて考えさせられる1冊でした。

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長野県出身。関東圏で働くサラリーマン。
明治大学を卒業後、オンワード樫山、ジョンソン・エンド・ジョンソン等に勤務。
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