大学卒業式の記憶
「大学の卒業式の思い出」と言われて、一般的に思い浮かぶことは何だろう。
受け取ったばかりの卒業証書を手に、友人たちと記念撮影をしたことだろうか。
それとも、恩師にこれまでの謝意を伝え、固い握手を交わしたことだろうか。
私には、そういった類の記憶がまったくない。
しかし、式の司会が安住紳一郎アナウンサー(大学OB)で、特別講演の演者が齋藤孝先生(教授)だったことだけは鮮明に覚えている。
そんなお二人が共著を出されたことを知って、買わない理由がなかった。
(発売日は2020年2月19日で、自分の読書メモでは2020年3月24日購入となっている)
明治大学に著名なOBは数多いが、個人的に「最も誇れるOBは誰か?」と問われたら、断トツで安住アナだ。
自らが主役となれるレベルの、圧倒的なトーク力と当意即妙な切り返し力。
それでいて、演者を活かす&立てることのできるアシスト力。
清潔感と誠実さを醸し出しながらも、毒舌や自虐ネタも秀逸で、それでいて他人から反感を買わない。非常に稀有な存在だろう。
(しかも何がすごいって、芸能人でもなんでもない、言ってしまえばただの「会社員」だというところがすごい)
読書メモ
・ポイントは、頭蓋骨を震わせて骨全体を響かせること。「んー」とハミングしながら、頭蓋骨が震える感覚を見つけてみてください。この時身体をゆるめて、リラックスすることが重要です。
・坂東玉三郎さんは、「胸を開くことが大事」とおっしゃっていました。
・語尾を曖昧にしない。京急の車掌さんは、「ドアを閉めます」とアナウンスする。
・「させていただきます」を多用すると覚悟がないように思われます。「させていただきます」は、使って1回か2回です。
・私が見ていると、どうやら安住くんは不測の事態をワクワクしながら楽しんでいるようです。
・重要なのは、自分の感情をきちんと言葉にして相手に伝えることです。そもそも、自分の感情は意外なくらい相手に伝わっていません。きちんと言葉にして伝えるだけで相手の反応は違ってきます。
・私は「明大生は傷だらけになって笑いを取りにいかないとダメですよ」と伝えています。
・面白いことをまったく言おうとしない人は、その場に対する貢献度が低いとさえ私は思います。
・どんな業界でも、仕事でいいアウトプットをしたかったら、その3倍くらいのインプットをしておく必要があります。
・旅に限らず、人よりたくさん本を読んだ方がいいですし、映画にも、アーティストのライブにも行った方がいいです。
・あくまで、インプットはアウトプットをするための手段です。インプットが目的になってはいけません。
・私は大学一年生の時に、「本棚を1年に1本ずつ増やす」という目標を立てました。大学生になって、本と本棚に投資をすると決めたわけです。1本の本棚に300冊くらいは入りますが、1年に読む冊数はそれを超えるので、かなりのハイペースで本棚が増えていきました。(斎藤先生)
・アウトプットが面白い人は、意識的にたくさんインプットをしています。いいアウトプットをしたいなら、できるだけ複合的に大量のインプットを心がけましょう。
・インプットした情報は、誰かにしゃべってアウトプットする習慣も身につけましょう。
・「いつもと違うもの」にチャレンジする。「今日はちょっと冒険してみよう」と心に決め、いつもと違う店で、いつもと違うものを食べてみたりするのです。
・違うものに目を向けないと、新しいものが受け入れられない体質になってしまいます。
・私の場合、定期的に職場の後輩をつかまえて、「最近読んで面白かった本を教えて」と声をかけ、紹介された本を読むようにしています。
・知性は、その人が使う語彙に表れます。賢いと思われるような話し方をするには、なんといっても語彙力を身につける。つまり読書をするのが一番です。
・文学作品は語彙の宝庫です。例えば三島由紀夫の『金閣寺』などを読むと、そこで使われている言葉づかいの賢さに驚きます。
・国語というのは、本当に重要な教科です。数学者である藤原正彦先生は、「一に国語、二に国語、三、四がなくて、五に算数」とおっしゃっていました。
・「4位の会社で、1位のアナウンサーになるには?」という課題を自分に課した。
・まずは与えられた「役割」「持ち場」の中で全力を尽くすことが大切です。与えられた持ち場で全力を出している人の姿は、誰かが必ず見ているものです。常に全力で取り組んでいる人は、やがて評価されて、必ず大きな仕事をもらえるように社会はできています。
・気分だけでも「絶好調」だと自覚しておけばいい。
・肩甲骨を回すと機嫌がよくなる。
・私の授業はアウトプットを重視しているので、授業中に「何か面白い話をしてくれる人はいるかな?」と呼びかけることがあります。普段は「シーン」となってしまうところですが、さすが明治大学は違います。自ら手を挙げてチャレンジしてくれる学生が一人くらいはいます。そんなチャレンジャーの中でも、群を抜いて面白い話をしていたのが安住君でした。
まとめ
同著は、「話し方」の本でもあるが、もっと根源的な「生き方」のヒントも多く得られたような気がしている。
3年ぶりに読み返しましたが、改めての学びや気づきがあり、やはり「買ってよかった」と思いました。
おすすめの1冊です。